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2002年10月15日 東京都 T,T様 |
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月島、汐留、新橋、赤坂、六本木のコースを通って、麻布のTさんのマンションにお伺い致しました。先ず最初に気になったのはステレオセットよりもその家賃です。お聞きすると70uの2LDKで40万円だそうで、我が東京試聴室も同じ70uの2LDKで22万円ですからざっと倍になります。 部屋に案内されますと仕事仲間の方が3人いらっしゃって、「今日のこれからのセッティングを楽しみにしております」と言う、いきなりのプレッシャーを投げかけて来られました。しかし、耳に入って来たTさんのステレオの音はと言うと、中域がつぶれた上に高域はきつく頭が痛くなるような音です。 システムを見渡すと、事前にはお伺いしていたとは言え、SCD-1にPA01、スピーカーはアマトールのミニです。ラックはと言うとアルミのパイプにガラスの棚板、御影石のベースにスパイク。「硬い」、「キツイ」、「冷たい」と私の嫌うところの3拍子揃った状態です。「一体このシステムから、気持ちの良い音楽をどうやって引き出せばいいのだろう?」と頭の中では半ばギヴアップ状態です。 |
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本日私が用意して来ている物と言えば、インシュレーターのPB-JRUを12個とPB-REXUを6個、それにレーザーセッターのみです。正直言って、さすがの私も今日だけはお手上げかなと観念していました。しかし、勉強の為息子も連れて来ている事ではありますし、まぁ、出来るところまで一生懸命やってみようと思い、いつものように基本に忠実にラックをばらしてガラスの棚板の方向を確認して組み直す事から始めます。 次に、カーペットの上にしっかりと足場を固める為に置かれた御影石の響きの方向性を上下、前後と確認を取ります。スパイクと御影石の関係は、力の無い痩せた低音になる事とヒステリックな音を出す元ですから、全て取り外します。そして、ラックの金属パイプと石の間には新聞紙を小さく切ってスペーサーとして1枚入れてやり、緩衝材の役割りを持たしてやります。 |
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その後、結線されているケーブルの方向のチェックに入ります。スタッカード式のケーブルの結線も、お互いの対角がプラスとマイナスの対になるようにして「緑と白」、「赤と黒」、に分け、なおかつ、緑を低域、赤を高域にしてバイワイヤリング方式で結線。後は、おおよその勘でスピーカーのポジションを決めた上で先ず最初の音出しです。 一気にストレスの無いまろやかな音になり、この違いには私自身もびっくりです。特に高さ方向の音場の広がりが顕著で、想像していた音よりはるかに良い音ですから、いい意味での困惑・・・。一人の人が「もうこれだけで、何もする必要ないじゃないですか」という声が出るほど本当に良くなったのです。あまりにも最初が悪過ぎたと言う事があるにせよ、全くの上出来です。 その後、例によってスピーカーの位置と部屋との関係の波動を揃える為の「空間の時間軸」の追い込み作業に入ります。私の勘で、今日は1,5kaiser(157,5ミリ)刻みでやってみます。すると、皆さん声を揃えて、前の方が良かったと共通の感想です。「それでは、その中間にしてみますよ!」と言って、半分ほど戻してみますと、「あっ、少し戻ったけれども初めの音には及ばない」と言う声も、これまた皆さん同じ感想になりました。こうして、左右のスピーカーの調整を息子との息の合った共同作業で進めて行きます。 ドンドンと皆さんの気が高まって来始めておりますので、私は一気にピンポイントに入るのを狙って、「それでは、一番最初より1/4ほど下げた所で聞いて頂きます」と言って音出しすると、一斉に、「オォ・・・」と言ううめき声と共に、「今日1番」と言う事になりました。低域から高域まできれいに抜け切り、透明感溢れる音が出来上がったのです。これぞ、ローゼンクランツ流の『空間の時間軸の波動コントロール』なのです。 これでシステムの基本的な事が終わりましたので、後は真打であるローゼンクランツのインシュレーターの出番です。スピーカースタンドの金属ベースの下に、JRUを前2点後ろ1点の3点支持で受けます。面倒でもこうして一つ一つ音の確認をして頂きながら、納得をお届けする事に心がけております。これほど論理的で分かり易い説明には感動ものだと仰って下さるのでした。 |
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もうこうなったら、どなたも私の匠の技に酔いしれるようになって来ております。これこそが「歯と歯茎の噛み合わせの理論」で出来た本当の意味でのインシュレーターです。と言って、PB-REXUをCDプレーヤーに装着した上で、「ヨーヨーマ」、「シナトラ」、「パバロッティー」と立て続けに聴いて頂くのですが、皆さんそれらの名人の演奏や歌に酔いしれるばかりです。この後、マランツのアンプPA01にもREXUを装着したのは言うまでもありません。 |
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とどめは、レーザーセッターで合わせると、皆さん堪能し切った様子で音楽の素晴らしさを改めて再認識されたようです。結果としていい音を創出する事には成功したのですが、これだけ偶然の組み合わせで結果オーライなのはTさんの運の良さが大きいと思います。どう頭をヒネッテも、この組み合わせから良い音など私には想像出来ません。ある意味、今日は私が一番カルチャーショックを受けたのかもしれません。 もっと足を踏み入れて、飛躍した想定をすると、これら一連の「ローゼンクランツ流の波動コントロール」を用いたセッティングをしてやれば、機器関の相性というものもほとんど気にすることなく、音楽性豊かな音が手に入れられると確信出来た今日の貴重な体験でした。 |
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